Yesの選択

2016年7月10日に行なわれる参議院選挙。候補者の顔ぶれを見るまでもなく、女性の国会議員が少ないことは、みなさん実感されていると思います。今回はそんな国会議員の女性比率について取り上げます。日本の現在の女性比率を国際的に比較してみましょう。加えて、その比率を上げるための施策について考察していきます。

日本の国会議員の女性比率

現在の日本の国会議員における女性比率は、衆議院では女性議員45人で9.5%、参議院では38人で15.7%。両院合わせて11.6%です*1。これに対して、世界186か国の平均女性比率は20.5%。日本は平均値に遠く及ばない値となっています。そして国別ランキングで日本は147位*2。国際的に見て、日本の国会議員の女性比率の低さは顕著です。

表 女性議員割合ランキング*2


一方、1位の国はルワンダ*2。ルワンダでは女性比率が50%を超えています。ルワンダの女性比率の高さは明らかですが、はじめからこれほどの数値だったわけではありません。この数値は、女性比率を上げるための政策を行なってきた結果なのです。

大きな効果のある「クオータ制」

ルワンダは、男女平等を実現するためのポジティブ・アクション(※)として「クオータ制」を導入しています。「クオータ制」とは、男女間の格差をなくすために女性枠の割り当てを一定の割合で設定するシステム。ルワンダでは、憲法において「指導的機関の地位の少なくとも30%を女性にする」ことを規定しました。さらに、法律によって国会議員の30%を女性枠として割り当てています。これらの制定を行なった結果、制定後初の選挙から国会議員の女性比率は改善しました。25.7%から48.8%まで上昇したのです*3

(※)ポジティブ・アクションとは*4
固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から以下のような差が男女労働者の間に生じている場合、このようなさを解消しようと個々の企業が行う自主的かつ積極的な取り組みをポジティブ・アクションという。
○ 営業職に女性はほとんどいない
○ 課長以上の管理職は男性が大半を占めている

ルワンダの場合は、憲法や法律により議席を割り当てるクオータ制が顕著な効果を上げました。クオータ制には他にも、候補者数を規定するものもあります。また、政党による自発的なクオータ制もあります。これは政党が党の規則等により女性比率を定めるもの。ドイツは政党による自発的なクオータ制の導入により、国会議員の女性比率を上げることに成功しました。クオータ制導入前は9.8%であった女性比率は、現在では32.8%。またスウェーデンでも自発的クオータ制により女性比率を上昇させることに成功しています(38.4%→45%)*5。これらの国の実績は、政党による自発的な取り組みでも十分に効果が上げられるということを示しています。

日本も法律の制定であれ、党の自発的な取り組みであれ、クオータ制の導入が必要なのではないでしょうか。

国際的にも対応が求められている

実際日本は、このようなポジティブ・アクションの実施を国際的に求められています。国連により採決された機関である女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、女性差別撤廃の観点で、各国に様々な勧告を行なっています。CEDAWが日本に対して行なっているのは、女性の政治への十分な参画を実現させるための、クオータ制を含むポジティブ・アクションの実施検討*6,7,8。これに対して日本政府は2011年、衆議院および参議院選挙の立候補者について2020年までに女性比率を30%とする目標を掲げました*6。当時の立候補者の女性比率は衆議院が16.7%(2009年)、参議院が22.9%(2010年)。しかしながら、その後の候補者数の女性比率は、衆議院が16.6%(2014年)、参議院が24.2%(2013年)*1と、目標実現は難しそうな実績となっています。

一方、前向きな動きも出てきています。2016年5月30日、民進党は衆院選の候補者についてのクオータ制導入を盛り込んだ公職選挙法に関する法案を提出しました*9。この法案が可決されれば、日本の国会議員の比率もこれまでより大きく上昇するかもしれません。

まとめ

日本の国会議員に占める女性の割合は11.6%で世界147位。国際的に顕著に低い値となっています。一方、女性比率の高い国の多くが導入しているのが、議席や候補者数のうち一定の割合を女性に振り分けるクオータ制。日本もこの制度を導入することで、国会議員の女性比率を大きく上昇させることができると期待されます。その導入に向けては、5月に民進党から法案が提出されました。法案の可決に向けた動きを見守っていきましょう。また、7月10日には参議院選挙が行なわれます。もちろん投票する政党や候補者を決めるうえで考えるべき点は、女性活躍に関する問題のみではありません。しかしその点も考慮して投票に行っていただければ、日本も変わっていけるのではないでしょうか。

参考
*1 http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/sankakujokyo/2014/pdf/1-1-a-2.pdf 内閣府男女共同参画局、女性の政策・方針決定参画状況調べ、平成27年度調査結果報道発表資料(2016年6月22日)
*2 http://top10.sakura.ne.jp/IPU-All-SeatsP-Female.html 世界の中を知る世界ランキング、世界・国会の女性議員割合ランキング(2015IPU版)(2016年6月22日)
*3 http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h19/zentai/danjyo/html/column/col01_00_03_02.html 内閣府男女共同参画局、第1部 男女共同参画社会の形成の状況 アフリカで進む女性の政治参画(2016年6月22日)
*4 http://www.mhlw.go.jp/positive-action.sengen/about.html 厚生労働省 女性の活躍推進協議会、ポジティブ・アクションとは(2016年6月30日)
*5 http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/kihon/kihon_eikyou/pdf/womens_participation.pdf 内閣府男女共同参画会議、政治分野における女性の参画拡大に向けて(2016年6月22日)
*6 http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/pdf/cedaw_co_followup_j.pdf 女子差別撤廃委員会の最終見解(CEDAW/C/JPN/CO/6)に対する日本政府コメント(仮訳)(2016年6月22日)
*7 http://www.gender.go.jp/kaigi/danjo_kaigi/siryo/pdf/ka49-2-2.pdf 女子差別撤廃委員会、日本の第 7 回及び第 8 回合同定期報告に関する最終見解(2016年6月22日)
*8 http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/woman_report_followup.pdf 日本弁護士連合会、女性差別撤廃委員会の最終見解に対する フォローアップに関する 日本弁護士連合会報告書(2016年6月22日)
*9 https://www.minshin.or.jp/article/109196/%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%BF%E5%88%B6%E5%B0%8E%E5%85%A5%E9%96%A2%E9%80%A3%E6%B3%95%E6%A1%88%E3%82%92%E8%A1%86%E9%99%A2%E3%81%AB%E6%8F%90%E5%87%BA 民進党、「クオータ制導入関連法案を衆院に提出」(2016年6月22日)


1 Comment on 目標数値だけではダメ!女性議員を増やすための具体的な施策

  1. 女性議員を増やすために運動を続けて
    きました。いい視点で、しっかり書いてくださり、これからも、どんどん書いてほしいというエールです。国連は、日本政府に対して、政治分野への女性を増やすための推進法案に「なぜ罰則を入れないか」というようなコメントしたと聞いています。罰則どころか、クオータ的精神がぶっとばされた法案になりそうです。議会勢力から言って、この結果は予期されたことですが、無念。

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