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女性活躍推進法が施行され、企業は2016年4月1日から自社の女性の活躍状況を把握し、その結果を公表することが義務付けられました。そこで、日本での女性の活躍状況について、探ってみたいと思います。

女性活躍推進法について

2014年、日本では、15~64歳の女性の就業率が63.6%と、過去最高を記録しました*1。一方で、出産・育児を理由に離職する女性は依然として多いのが現状です。また、後ほど述べるとおり、管理職の女性比率は国際的に見ても低い状況です。これらのことから、職場において能力を十分に発揮できている女性が少ないといえます。加えて、少子化により、労働力が不足していくと予測されることからも、女性が働き続けられる環境づくりが必要になっています。また、女性が働き続けるためには、女性の成果や能力がきちんと評価され、活躍できることも重要といえます。

こうした背景から、女性活躍推進法が制定されました。これにより、企業は女性の活躍状況を把握し、公表することや、女性の活躍に関して改善の取り組みを行なうことが求められるようになりました。なお、従業員が301人以上の企業では、これらが義務付けられていますが、従業員数が300人以下の企業では、努力義務となっています。ここで、女性の活躍状況として必ず把握すべきとされている項目は、以下の4つです*2

  1. 採用した労働者に占める女性労働者の割合
  2. 男女の平均勤続年数の差異
  3. 労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況
  4. 管理職に占める女性労働者の割合

今回はこのうち、4.管理職に占める女性の割合について、深堀りしていきます。

国際的にみても、日本の管理職の女性比率は顕著に低い

総務省のデータによると、2014年現在、日本の管理職の女性比率は11.3%*1。さらに、管理職の役職別に女性比率をみると、係長級では16.2%、課長級では9.2%、部長級では6.0%と、役職が上がるほどに、女性比率は低くなっていることがわかります*1(図1)。労働力人口(就業者と完全失業者の合計)の女性比率は43%と*3、50%に近い値であるにも関わらず、女性労働者のうち管理職である人の割合は低いままです。

また、国際的に見ても、日本の管理職の女性比率は低いといえます。2015年に発表された国際労働機関(ILO)の調査結果*4によると、日本の管理職の女性比率(11.1%、2012年)は、126か国中96位。ただし、この順位は順位の重複を考慮していないため(たとえば、19位の国が2か国ありますが、その次の順位は21位でなく20位となっています。)、実際の評価としてはワースト13位にあたります。欧米諸国の順位及び女性比率を見てみると、最も順位が高いのは15位のアメリカ(42.8%、2008年)で、次いで24位にフランス(39.4%、2012年)がランクインしており、欧米諸国の中で最下位のイタリア(25.8%、2012年)も70位。最下位のイタリアと比較しても、日本の数値の低さが顕著であるといえます(図2)。


企業の制度や意識に問題があるのでは

では、なぜ日本では女性管理職比率がこれほどまでに低いのでしょうか。2011年に厚生労働省では、雇用均等基本調査*5にて、女性管理職の少ない(1割未満)企業の人事担当者にその理由を問う調査を行なっています。その結果、最も多く挙げられた理由は「現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない」(54.2%)、次に多かったのは「将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいない」(22.2%)。これらの理由は、年功序列の制度が色濃い日本企業ならではのものであり、日本の女性管理職の割合が顕著に低い原因の一つと考えられます。この制度を柔軟に変更しない限り、管理職の女性比率を伸ばしていくのは難しいかもしれません。

また、企業としての問題意識が低いことも、改善しなければならない点です。2014年時点において、男女労働者間の格差解消に対するポジティブ・アクションを「いまのところ取り組む予定はない」とする企業は24.7%にのぼります*6。この数値は前年(63.1%)と比較して大きく改善しているものの、十分に低い数値であるかは疑問が残ります。2014年に急激に数値が改善した理由としては、女性活躍推進法の制定が関連していると考えられます。同法の制定に向けて世の中が動く中で、ポジティブ・アクションに「いまのところ取り組む予定はない」と答えられなくなったともいえるでしょう。この回答の変化が、実際の取り組みを引き起こし、管理職の女性比率改善を含めた、女性の働きやすさにつながることが望まれます。


まとめ

日本の管理職の女性比率は11%と、国際的にも顕著に低い値となっています。この理由としては、日本ならではの年功序列制度や、企業の問題意識の低さが考えられます。女性活躍推進法の施行により、これらの改善が促され、管理職の女性比率改善や女性の働きやすさが実現されるよう、期待したいと思います。

参考
*1 総務省統計局データ(2015年)http://www.stat.go.jp/info/wadai/pdf/046.pdf
*2 厚生労働省 女性活躍推進法パンフレットhttp://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/280108sakutei.pdf
*3 総務省統計局 労働力調査 長期時系列データ http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000000110009&cycode=0
*4 国際労働機関 Women in Business and Management: Gaining momentum [abridged version](2015年) http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/—dgreports/—dcomm/—publ/documents/publication/wcms_334882.pdf
*5 厚生労働省 平成23年雇用均等基本調査 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-23r-02.pdf
*6 厚生労働省 平成26年雇用均等基本調査 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-26r-02.pdf


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