きゃりーぱみゅぱみゅの「でもでもまだまだ」という曲が、私は好きです。
歌詞はこちら
自分のやりたいようにやっていいじゃん!ということを歌った曲です。

一度決められたこと 変えるのは難しい
だけどしょうがないと思ったら
それはそこで全て終わっちゃうよ
(中略)
どーして どーして なんでなんで
それは そうしなきゃいけないの?
どーして どーして なんでなんで
他にも 道はあるでしょ

これ、何か問題にぶち当たったときにも同じようなことがいえるのではないでしょうか。解決方法は、決められた枠組みの外にあったりするものです。

今回は、そんなお話。

お金がない!電気がない!診断できない!

世界には、医療の充実していない地域がまだまだたくさんあります。そんな地域に医療を提供するとき、必要になってくるのが病気の診断。患者さんの血液をとって、その血液を検査したりするわけです。このとき、実はとってきた血液をそのまま検査するわけにはいきません。血液は、赤血球や白血球、血小板、血漿と、いろんな成分が混ざったもの。血液をそのまま検査に使ってしまうと、いろんな成分が邪魔をして正しい結果がわからないのです。だから、患者さんからとった血液は、まず「遠心分離」をする必要があります。

遠心分離とは、遠心力を利用して、いろんな成分が混ざったものを成分ごとに分離すること。血液をチューブに入れて遠心分離すると、下図のように成分ごとに分かれます。
血液の遠心分離
(wikipediaより引用)

このように分離することで初めて、血液の検査(多くの場合、血漿を検査します)が可能になります。

ただ、この遠心分離、医療の不足する地域で行なうには壁がありました。まず遠心分離の機械が高額であること。かつ、大きくて持ち運びには不便であること。そして、機械を動かすために電気が必要であること。

これらが原因で、たとえば「アフリカの村に行って、その場で病気の診断をする」といったことが難しかったのです。

分離できれば、なんだっていい

この遠心分離の問題を解決する方法が、先日論文で報告されました。
Hand-powered ultralow-cost paper centrifuge, M. Saad Bhamla et al., Nature Biomed. Eng., 1(9), 2017
ここで応用されたのが、おもちゃのブンブンゴマ。中央に2つの穴を開けた丸い厚紙に紐を通し、紐を左右に引っ張ることで真ん中の厚紙を回すおもちゃです。こちらの動画(論文の内容を紹介したものです)をみていただけると、どういうことかがよく分かると思います。

丸い厚紙のところに血液を入れたチューブを取り付けてブンブン回すことで、血液の遠心分離ができるという研究です。

このブンブンゴマ遠心機の利点は、安い!軽い!手動!つまりどこへでも持ち運べて、どこでも使えるということ。これによって、どんな場所でも病気の診断が可能になるのです。

一方、通常使われる遠心分離機と比べて劣っている点としては、遠心の力を正確にコントロールできないことが挙げられます。遠心力は、回転のはやさによって変わりますが、その回転のはやさが、コマを引く力によって変わってきてしまうためです。

とはいえ、診断のための遠心分離に必要なのは「きちんと血液を分離できる」ということ。どれだけの遠心力がかかっているかは、診断には影響しません。だから、ブンブンゴマ遠心機で十分なのです。

これ、とてもいい研究だと思います。

目的にあった、最適な手段を

研究者は、日々の実験でよく遠心分離をしています。私も以前、生物系の研究をしていましたが、1日に何回も遠心分離機を使っていました。だから研究者は「遠心分離」といったら、高額な遠心分離機を使うのが当然だと認識しています。たしかに、「研究をする」という目的で遠心分離をするときにはきちんと条件をコントロールできる遠心分離機を使う必要があります。でも診断だけが目的であれば、遠心分離機にこだわる必要はないのです。

目的がなにか?」に合わせて、最適な手段を求めていくことが大切だな、と改めて思いました。


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