音楽と人、人と人が出会うストリートライブはとても素敵な場所だと思います。

ストリートライブでのYKJとの出会いと、再会

私が高校1年生のとき、たまたまストリートライブで目にしたカホン(アコースティックでドラムの代わりに使われることの多い打楽器)。初めて目にするカホンの、ただの木箱にしか見えない見た目から奏でられるドラムのような音に興味を惹かれ、YKJというバンドを知りました。そしてカホンだけでなくYKJの音楽を聴きストリートライブの距離感も知り、YKJが大好きになって、毎週末のようにストリートライブを聴きに行くようになりました。ライブハウスに初めて行ったのも、YKJのライブ。

しかし大学生になってからは生活も変わり、次第に聴きに行くことがなくなってしまい、気付くとあの頃からはすでに10年ほど経っていました。好きな音楽も変わってきたり、フェスでいろんな音楽と出会ったり。高校生以来、ライブハウスからはしばらく足が遠のいていたのですが、最近フェスがきっかけでいろんなバンドのライブに行くようになりました。そしてふと、私のライブハウス体験の原点であるYKJのことを思い出しました。

調べてみると、YKJはストリートライブこそやらなくなったものの、ライブハウスでのライブを中心に活動を続けているとのこと。2015年には映画の主題歌も担当していたそうです。またYKJのライブに行ってみたい、久しぶりに聴いてみたい、と思っていたら、なんと久しぶりにストリートライブをやるとの情報がツイッターから!しかもその場所は、私がよく聴きに行っていた川口!こんな情報がツイッターで流れてくるということに時代の流れを感じながら、これは行かない手はないと、その日は仕事を早めに切り上げて川口へ向かいました。

音楽は大切な記憶と繋がっている

当時は、メンバーと少しずつ仲良くなったり、よく一緒になるお客さんと仲良くなったり、いろんなことがあったなあ。メンバーのやすじさん(Vo, Gt)、シュウゴさん(Dr, Cho)は私のこと、少しでも覚えていてくださってるだろうか。

と、ドキドキしながら川口に到着。そしてライブが始まる前にメンバーのシュウゴさんに声をかけると……「あれー?!来てくれたの!変わらないね!」と、昔のように話してくださいました!やすじさんも「久しぶりだね。大人になった?」と。

そしてストリートライブがスタートしてYKJの音楽が聴こえた途端、いろんな記憶が鮮明に思い起こされました。川口駅前のいつもの場所でのストリート。それを夏の暑い日にベンチに座りながら聴いていたこと。寒い日には温かい飲み物を買って「寒いね」と言いながら、仲良くなったお客さんと一緒に聴いていたこと。一時期は草加駅前でのストリートが多くて、はじめて草加駅に行ったこと。今は脱退されたメンバーに古文の参考書をおすすめしていただいたこと。部活の後に秋葉原でのストリートに行ったら制服姿にも関わらず、アキバ系な男性に「大学生ですか?」と声をかけられたこと、などなど。音楽は記憶と繋がっているんだな、と強く感じました。青春時代の大切な思い出です。

今歌っている曲は知らないけれど、YKJの音楽は私の中に強くあるんだと思いながら聴いていました。MCのときに「もう2、3歩近づいて聴いてください」と言われたり、お客さんが携帯でストリートの様子を撮っていたり(みなさんの携帯はガラケーからスマホに変わっていたけれど)、そんなことも懐かしいなと思いながら。

「宝物」

さらに途中でとってもうれしいことが!!なんと、私が通っていた頃にできた曲「宝物」を演奏してくださったのです!!

はじめて聴いたときから、ストリートで少しずつ変化して固まっていったこの曲。メジャーデビューしたバンドでもライブハウスで試験的に演奏しながら新曲を固めていくことはあるけれど、ストリートの方が頻繁に聴けるから、徐々に進化しているのがより感じられます。それもストリートの良さのひとつ。

「宝物」は音源も持っていないから最後に聴いたのは10年くらい前だけれど、歌詞もしっかり覚えていました。そんな当時の記憶が、私の「宝物」だなあ。思春期で親とケンカしたり、勉強に煮詰まって凹んだり、そんなときにYKJの音楽や、休憩中のメンバーやお客さんとのやりとりが私にはなくてはならないものだったのです。学校とも塾とも違う、集まっている人の年齢も職業もバラバラなそのコミュニティが、私の息抜きの場所でした。

それだけでなくモノとしての大切な「宝物」も、やすじさんから頂いていました。それは私が受験勉強のためにしばらくストリートに来るのをやめて勉強をがんばります、と伝えた日のこと。「リクエストしていいよ」と言っていただいて「Beginning」という曲を演奏していただきました。”今から何かはじめよう 時間は待っちゃくれないよ”という歌詞に、「私は今から勉強をがんばるんだ」と思いじーんとしていたら、やすじさんから「はい」と渡されたもの。それは使っていたピックでした。

やすじさんに頂いたピック
「受験がんばってね」と言われれるでもなく、ただ渡されたピック。少し欠けたそのピックは、ひたすらに音楽と向き合っているやすじさんとYKJの姿と重なり、私に勉強と向き合う力をくれたのでした。受験生の頃はずっと手帳に挟んで持ち歩いていて受験会場にも一緒に行った、今でも大切に持っている宝物です。そして大学受験は、お陰様で第一志望の大学に合格できました。

ストリートライブは、かけがえのない文化

さて、この記事で私が何を言いたかったかというと、ストリートライブはだれかを救ったり支えたりしているものだということです。だから衰退させてほしくない文化なのです。

私が久しぶりに行ったストリートライブは、警察の方に注意されて途中で中止になってしまいました。

10年前にも、警察に注意されて中止になったり、別の場所に移動することになったりということはよくありました。ストリートライブは警察に注意を”させてしまう”行為であるのかもしれません。けれど、ストリートライブは誰かの力になり得るものだし、誰かを傷つけることもしないのにな、と私は思います。今は有名になったゆずや高橋優くんなんかもストリートライブから始めたミュージシャンです。

また私は今でこそ、働いてお金を稼いでいるからライブハウスに頻繁に行けるけれど、高校生の頃であったらなかなか行けなかったと思います。だからこそストリートライブがあってよかったと思うのです。もちろん、通行の邪魔をしないなど、マナーを守ることは必要です。音楽をやっていればなんでもいいわけではありません。それはミュージシャンもお客さんも、ライブハウスもストリートライブもフェスも、みんな一緒。マナーを守った上でストリートライブが今後も続いていき、そこで素敵な出会いが生まれたり、ミュージシャンが育っていきたくさんの音楽を届けてくれることを願っています。


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